コラム
『俵ランド物語』(たわらんどものがたり) 筆:うつみしこう
自由庵憧鶏
じゆうあんしょうけい
Vol.17 『消防詰所の移転場所について』
-Questions about the fire fighting station moved locations.-
今回はいわでもがなのことです。それでも、素朴な疑問は残りますので書いておきます。
国道378号線のつけ変え工事に伴って、大浦と脇の二つの消防団詰所が移転するという。それはいいのだが、移転場所が問題。
計画では、大浦詰所は、現在地から200メートルほど西に寄った新道路の造成空き土地(旧俵津魚市場前辺り)に、脇詰所は、俵津公民館の駐車場に建てる、ということのようだ。
これは私など部外者から見ても、すこぶる疑念を抱かざるを得ない計画だ。
誰もが認識しているように、これからは1995年の阪神淡路大震災や2011年の東日本大震災に続いて、日本列島が「大地動乱の時代」をむかえる。首都直下、東海、東南海、南海、日向灘地震が単独もしくは連動して起きる可能性が指摘されつづけている。
そんな時に、この計画はとても熟慮された上でのこととは思えないのだ(もちろんされているのだろうが)。3・11以前だったら、これでよいのかもしれない。確かに現計画の場所は便利だ。通常の火災などでは最大限機能するだろう。しかし、これからは(いつ起きるかは判然としないが)上記地震を想定してすべてのことを決めなければならない。これでは、「その時」の対応ができないのではないか(素人の浅知恵だということはよくわかっているのだが)。
まず、「地震」に対応できるかどうか。
私は今後の地震の「想定」は、あの「3・11地震」を常に基準にすべきだと思っている。国や当該機構などの“立場上の”想定では意味がないと。そうであれば、道路や家屋の倒壊で、消防活動は初手からいちじるしく困難にあうのではないか。
次は、「津波」だ。県の想定でさへ、南海トラフ地震では、原発のある佐田岬半島の宇和海側にぶちあたる津波は最大10メートルを超えるという。明浜町は、この岬とほぼ平行した全地区が震源地の太平洋を向いた南向きの地形。やはり、この規模の想定はしておいたほうがいい。標高1~2メートルくらいの両詰所は、まず全部破壊され、自動車など機材をすべて失うことになるだろう。
もちろん、3・11級の地震と津波がくれば、誰しも自分や家族の生命を守ることを第一に考えなければならないから、とても消防団活動に従事はできないだろう(できるとしても、遅れるだろう)。
それでも、詰所の建物や機材は守らなくてはならないとおもう。必ず役に立つ時がくるからである。
だとしたら、今からでも建設場所の変更を、勇気を持ってやるべきではないか。
大浦だったらどこか。毛利の住宅団地の上辺り,尾下さんの倉庫の周辺か。脇だったら、大山神社の上、防災倉庫の下辺りか。県道45号線(野福線)も通れなくなるかもしれないとしても、宇和につながる場所でなくてはならない。吉田・宇和島方面は海岸線だから無理だろう。
ちなみに、脇詰所は将来団員の確保がむずかしくなる関係で、新田消防団との統合が予定されていると聞く。その点から考えても私の言う場所がいいのではないか。また、公民館の駐車場では、人家が建て込んでいて団員が遅くまで安心して酒を飲めないのではないか。それと、公民館には、やはり広い駐車場は必要だ。それをつぶすのはあまりいい策とは思えない。
住民の生命と財産を守る活動を、最前線に立ってしていただく消防団だ。市は、その基地としての詰所をつくるのに、土地購入代を惜しんではならない。
いらぬことをながながと書きました。消防団のみなさま、おゆるしください。
2015・5・3 自由庵憧鶏(じゆうあんしょうけい)
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