コラム
『俵ランド物語』(たわらんどものがたり) 筆:うつみしこう
自由庵憧鶏
じゆうあんしょうけい
Vol.20 市長さん、やっと、ですね。
-The mayor will finally retire.-
「西予市の三好幹二市長(65)は17日、来年5月の任期満了に伴う市長選挙には立候補せず、3期目の今期限りで引退する意向を明らかにした」との報道があった。
わたしは個人的に、「市長や議員は、ようやって二期8年でいい。どんどん新しい人にかわって、新陳代謝をくり返していくべきだ」と思っているから、“やっと、したか、遅すぎる”、というのが感想だ。
わたしは、3年半前の3期目の当選時に、「今期限りで辞める」ということを宣言すべきだったと思っている。なぜか。次の市長の「人間」をつくるべきだからである。次の候補者に、
・市長に立候補するという“決意・決断“をする充分な時間を与える
・市の発展策(政策)を考える充分な時間を与える
・選挙体勢を整える充分な時間を与える
・選挙資金を準備する充分な時間を与える
ということが必要だからである。それは、われわれの市の「未来」のために必要なことである。
三好氏は、翌日にはまた、自分の後継者にK氏を立てることを表明したようである。それが、自分が決めた次期市長候補の選挙戦を有利に導くための常套手段であるのはわかっている。また、あまりに早く引退表明をしては、市議や市職員の侮りを買い、緊張関係を維持できなくなるのを恐れて今回の発表にしたというだろう気持ちもわからぬではない。
しかしながら、まっすぐに西予市の発展を願うなら、そんな姑息な永田町に棲息する政治家のマネのようなことはやめるべきである。自分が決めた候補に対して、圧倒的に不利な立場に立たされる他の候補たちのことこそ考えるべきである。自分が決めた候補が市民のためにならない政治家になる可能性だってある、ということを肝に銘じなくてはならない。
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話はちょっとだけそれるが、「多選」ということに、意味(利点)がないわけではない。
・政治に熟練・熟達する
・県政界で重鎮になれる
・全国市町村長会のようなところでも、重きを置かれるようになる(だろう)。時には、会長のような地位が転がり込んでくるかもしれない。
・永田町や霞ヶ関でも名が知られ、「陳情力」が増す(かもしれない)
などなど。
この際、そんなものは、きっぱり捨てよう。東京一極繁栄の中、地方は総崩れ。こうなったら、地方は「民主主義の学校」をやるしかない。国家予算も「もらう」ではなく、しっかり最初に「わける」発想で行こう。青い、とか、きれいすぎる、とかいわれても、初歩(原則)からやり直すしかない。
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三好氏が出た11年前の選挙の時、わたしは、友人が三好氏と親戚だったり、東宇和連合青年団当時の仲間が三好選対の運動員だったりした関係で、三好陣営に加わった。
「平成の大合併」でできた西予市の初代市長は、対象五町の調整役をみごとにこなして、事務方の中心として活躍した公務員出身の三好氏が適任だろうと判断したこともある。
三好氏は、市庁舎や市民病院の建設、サテライト西予・オフサイトセンターの誘致などそれなりの実績をつまれた(といわれている)。
二期8年で、清く身を引かれていたらどんなによかったろうと、つくづく思う。三期目からは、独断・偏向が目立った。
三瓶町につくった産業廃棄物処理施設建設に際しては、住民との充分な事前の話し合いを怠り係争化した。
伊方原発再稼動問題では、こともあろうに、愛媛県の自治体長の中で真っ先に容認宣言をするという、考えられないような軽挙妄動をした。オフサイトセンター(2000年に成立した、原子力災害対策特別措置法において指定された施設。正しくは、(原発)緊急事態応急対策拠点施設)を受け入れた市長としては、当然予想できる行動とはいえ、市民の失望は大きかった。
このようにことごとく「限界」を感じる施策を展開している。
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来年の「市長選」では、公務員上がりではない、骨太の政治家が大勢立候補していただくことを切に願っている。
2015・12・203 自由庵憧鶏(じゆうあんしょうけい)
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