コラム
『俵ランド物語』(たわらんどものがたり)  筆:うつみしこう
                      自由庵憧鶏
                                              じゆうあんしょうけい

Vol.25 『公民館』の新しい使い方
-New usage of the Community Center -


IMG_0152.JPG   IMG_1704.JPG   IMG_2784.JPG    IMG_2639.JPG  


IMG_2539.JPG


 前稿を読んでくれた友人から葉書が届いた。
 「景観が荒れれば心も荒ぶと思います(部外者の勝手な想い込み!!)。俵津の景観を少しでも荒らさないことは(果樹作りでうまくビジネスとまではいかなくても)、果樹農作業で人生の一齣を豊かな色彩りで過ごせる方法を見い出すことかな?貴君のこの指とまれ・提案提言に一人でも町内で賛同者が居ることを願います。」
 こういうコメントは何とも嬉しい。
 彼の言うとうりだ、と思う。冬枯れで今が一番荒れているのが分かる季節。荒れている山を見ると自分のこころがどこか塞いでいるのを感じる。

 元狩江公民館の主事だったN君からもこんな話を聞いた。
 「狩江では、荒れた農地が出たら、地区の人たちが話し合って、誰かがそれを引き受けるようにして来たということでしたよ。それと狩江で比較的農地が荒れていない状態が保たれてきたのには、やはり無茶々園の力も大きかったように思います。また、国によってジオパーク認定がされたのも大きいと思います。石灰岩の美しい石垣の景観、先人の努力の結晶である遺産を守ろう!という強い意思が狩江地区の人たち全体の中で生まれてきています。」
 農業景観を守る・保つというのは農家だけの問題ではないのかもしれない。

 とまれ俵津の課題は山積している。立ち止まるわけにはいかない。年寄り(前期高齢者)の世迷いごと=妄想を書き連ねる作業を続けよう。今日も妄想コンドルは飛んでゆくのだ。
 今回は、キーワードに「公民館」を選んでみた。
 言うまでもなく公民館は、俵津の「まちづくり」の拠点だ。として、わたしたちはそれを活かしきれているか。使いきれているか。それが問題だ。
 使い切るために、三つの提案をしたい!!

「俵津まちづくり推進本部」をつくる

 俵津公民館(+老人福祉センター)の建物の二階、大ホール入口手前に、建設後しばらく「公民館事務室」として使われていた部屋がある。今は物置になっているこの部屋を推進本部事務室にするのだ。これだけいい施設に空き部屋はモッタイナイ。使い切る必要がある。使い切ることが俵津住民の心意気であらねばならない。
 国の「地方創生」政策でまちづくりの専従職員を雇用できるような国の補助金制度もあるようだから、それらを利用して事務局の専従者を置く。専従者がいなければやはり物事は本格的に進まない。スマイル会長も、時間の許す限り在室しよう。まちづくりの資料や書籍なども充実させよう。役員や一般住民も自由に出入りし、いろいろな話をしよう。話を深めよう。何事も大上段に振りかぶると長続きしないからまずはそんなところから始めて行こう。

 「俵津スマイル  いいまちづくり隊」の活動は6年がたった。いろいろと問題点は出てきてはいるが、それでも、着実に前進はしている。ほんとうにやらなければならないことも見えてきている。その活動を加速し、大きな成果をおさめるためには、ここらで強力な手を打つ必要がある。それがこの「推進本部」だ。
 「俵津スマイル」の活動は、西予市の「まちづくり交付金制度」の受け皿組織として、どこか仕方なく〝やらされている〟という感じがぬぐい切れていないが、俵津地区民が自らの地域を自ら作るという覚悟の基で、主体的なものに作り替える必要が生じて来ている。あるいは、一段階上の組織に昇華させる段階をむかえている。実行体制の確立ということだ。

②「喫茶店」をつくる

 公民館+老人福祉センター施設の一階に、かつて二代目の公民館事務室となっていたかなり広い空き部屋がある(保育所寄り)。こんないい空間があるのにモッタイナイなあ、といつも思ってきた。ここを喫茶店にしたらどうだろう!
 市民に開放して、事業をやる者を募ったらいい。
 社会教育法とか何とか、そういうことを縛る法的制限があるのかもしれないが、松山の県民文化会館の一階には食事もできる喫茶店があるのだから、何とかなるのではないか。
 俵津住民がここを利用して、コーヒーを飲みながら、軽食をとりながら、いろいろな話をすることができたら、とてもいい雰囲気の空間ができるのではないか。
 俵津にもけっこう他所からの来訪者(工事関係者・企業の営業職員・介護関係者などなど)はあるので食堂を求める声はあるし、わたしたちの個人やグループの会議室としても使えるだろう。

 これからは、使われない公共施設がどんどん出てくる。使われてはいても現在の俵津公民館のように、使われない(利用されない)部屋や部分がいっぱい出てくる可能性は高い。現に、廃校になった田之浜小学校・高山小学校・明浜西中学校や明浜農協本所二階などは全く使われていない。
 常識的な考えは捨てて、これらを最大に活かす発想をすべきではないか。そんなこと言ってもという端からの諦めや、耐震基準を満たしていないからなどというようなことで思考停止するのはやめよう。市民が新しく建物を建てて、店や事業所をつくるというのはものすごくハードルの高いことだ。条件(規制)緩和して市民に開放するやり方を、行政もそろそろ取り入れるべきではないか。そうしないと、(疲弊しきった)地域は興らない。


③ロビーや通路を活かす

 公民館=老人福祉センターには、ある程度の広さを持ったロビーや通路(廊下)や壁面がある。ここを市民に自由に使ってもらうようにしてはどうか。
市民がいつでも自分の個展やグループ展をやれるようにするのだ。絵画・写真・俳句・短歌・パッチワーク・革細工・竹細工・木工細工などなど趣味にしている人は多い。365日の産業文化祭をやれるようにするのだ。
 公民館は市民の〝まつり〟空間。〝はれ〟の舞台。市民交流の場。自己表現と自己解放・成長促進刺激の場。・・・。で、あって欲しい。

 市民の芸術的表現行為の場だけではなく、日を決めて、不用品の交換会(市・バザール)をやってもいい。というか何をやってもいい。公民館は要するに場所の提供をすればいいのだ。もちろん、運営は市民の自主運営だ。

 ホールだって、歌謡曲・演歌のカラオケ大会だけでなく若者のロックやJポップの演奏会やダンスの発表会などもっともっと多様な使い方ができるはずだ。
 老人福祉センターの「機能訓練室」だって、ジム化してもっと利用者を増やすべきだ。60歳から利用できるということだから、すでに「限界集落」寸前の俵津には対象者は極めて多いはず。健康寿命を伸ばすことは、社会福祉にかかる費用の削減にもつながる。担当者はもっとアイデアを出してみんなに来てもらうようにしよう。老人会も組織ぐるみで対応してはどうか。

 ひとが集まらなければ何も始まらない。ひとが出会い話し合ってこそ何かが動き出す。

 むかしの(わたしたちが若い頃の)公民館は、住民の(各階層・老若男女の)出会いの場所だった。青年団の頃のわたしたちは、そこで老人会や婦人会の人たちとも話し合う機会をもてた。それは、地域の人間(構成員)と社会を総合的に見る目を育てた。地域運営をスムースにした。
 主事さんもよく心得ていて、みんなの相手をしてくれた。事務員さんも快くお茶を出してくれて、いい雰囲気づくりをしてくれた。地域システムがうまくいっていた頃の話をしてもつまらないというかもしれないが、分かったうえで理想像は描いていたほうがいい。

 これからの〝まちづくり〟を考えるとき、「公民館」の役割はますます重要になる。いかにひとをそこに集めるか。いかにひとがそこに集まるか。それが決め手になる。
 (ああ目がしょぼしょぼしてきた。いらんことをいいすぎた。やめよう。)


2017.2.28 自由庵憧鶏(じゆうあんしょうけい)


以前のコラムCheck