コラム
『俵ランド物語』(たわらんどものがたり)  筆:うつみしこう
                      自由庵憧鶏
                                              じゆうあんしょうけい

Vol.30 "俵津夏祭り"の可能性
-Possibility of Tawarazu summer festival -

IMG_2376.JPG    IMG_2379.JPG    IMG_2385.JPG    IMG_2380.JPG

IMG_2382.JPG    IMG_4158.JPG    IMG_3376.JPG    IMG_3235.JPG

 大浦のみかん山から見る湾岸道路はとてもきれいだ。真新しいアスファルトに引かれた白線が鮮やかでエレガントだ。
国道378号線の俵津バイパス工事がこの春完成して3月29日には開通式もあった。渡江トンネルから玉津トンネルまで完全二車線の出来立てほやほやの道路は、走ってみると超快適。淀みなくグイーンと走行できる。ぎくしゃくとつかえながら旧道を走っていた頃に比べればストレスが全くない。こんな日が来ることは思ってもいなかっただけに日々爽快感に浸っている。
 7月15日、そんな道路が出来てはじめての俵津夏祭り、久方ぶりに祇園町へ出かけてみた。旧魚市場と新道路の間にはかなり広い空間(広場)もできていた。驚いたのは人の多さだ。特に若い人や子供が多い。見慣れぬ顔がいっぱいだ。これはどうしたことだろう。家族で来ていた息子の同級生を見つけたので聞いてみた。「ぼくも家族だけでなく(指さしながら)他所の親戚を誘って来てもらったのです。見てみると他の人たちもそんな人たちが多いみたいです」ということらしい。若い人たちのそういう感覚がとてもいい、と思った。
 圧巻は、やはり花火だ。俵津湾の真ん中にしつらえられた筏から打ち上げるのだが、道路が湾岸に出来たので距離がより近くなった。暗闇ではっきりとはわからないが長山建設の海岸倉庫から農協前までの間に新しく出来た船着き場の浜広場に大勢の見物客がうごめいているのが感じられる。午後9時前に始まった花火大会。花火と見る者の一体感・熱気がすごい。大きなどよめき、歓声。
 思えば、この花火。わたしたちが俵津小学校のPTAの役員だった時、「この俵津で、子供たちに花火を見せてやろう。父ちゃん・母ちゃんたちの心意気を見せるんじゃ!」と始めたものだった。一回だけのつもりだったがこんなに長く続くとは。「たった15分ばかりで、100万円がパー、もったいない」というようなシニカルな声もあったが、やはり俵津人はキップがいいのだろう。粋好みなのだろう。「ああ、あの時やってよかった」と熱いものが胸にこみ上げてきたのだった。
見終わった後、帰りかけてまた驚いた。浜広場の観客数の多いこと多いこと。新道路をぞろぞろと渡って家路につく人たちの群れを見て思った。なんとなんと、こんなにも多かったのか。かなりの年配の方の姿も見受けられた。わたしの胸はさらにまた高鳴ったのだった。

数日が経って私の中にあの妄想コンドルがまたうごめきはじめた。虚言壁・妄想癖のあの鳥だ。俵津夏祭りはもっともっと面白く盛大にできるのではないか。そんな想念が湧いたのだ。以下それを綴ってみたい。

(1)メイン会場
  ・今回全く使われていなかった新しく出来た広場を利用して新しい催しを企画する。
   たとえば、従来行われていた「カラオケ大会」を復活させる。
   参加者を広く地区外にも求め盛大なものにする。
   ゲスト歌手やゲスト審査員も招待してトロフィーなど商品も用意する。
  ・「俵津祇園太鼓」を創設する。俵津文楽がかつてそうだったように新しい時代の伝統文化を作る。
   完成して披露できるまでの間は、「鼓動」や近隣市町の太鼓クラブを招聘して賑わいを作る。

(2)旧国道を利用する。
   農協マーケット前から宮本宏さん宅横までが市道になって当日の通行止めが可能になったため、この区間を
   利用してさまざまな企画を考える。
  ・道路の両脇に灯ろうを並べて雰囲気を作る(竹製・和紙製)。あの蝋燭の何とも言えない色合いが独特の
   ムードを醸し出す姿は夏祭りにふさわしい。
  ・家々の軒先には、提灯をつらくっていただこう。
  ・さまざまな団体・グループの「踊り連」を出す。子供から老人まで地区民こぞって踊りあかそう。
   宇和島や土佐の鳴子連も伝手を頼って招待しよう。
  ・もちろん、「ストリートダンス」もいい。
  ・そう言えば誰かが言っていた。俵津を東西に分けて「大綱引き」をやったらどうだ、と。
   大浦連合対脇・新田連合とか。

(3)海を活かす。
  ・区対抗で「たらい競争大会」をやろう。当日は一日がかりの夏祭りにしよう。
   どこだったか「はんぎり競争」というのもありましたね。
  ・津島嵐地区の和船競争というのもある。あれにならって漁船の「ろこぎ競争」でもいいね。
  ・「俵津湾を仕切って、クジラを泳がせたらいい。すごい町おこしになるぞお」、昔、そんなトッポを楽し気に言う人がいた。
   トッポ話、とんと聞かれなくなりましたねえ。「かっぱ祭り」があるんだから、「クジラまつり」、あってもいいよねえ。

(4)海岸四か村(豊海・高山・玉津・白浦)花火大会。
   花火打ち上げ用の筏を四つ作って、それぞれの地区が順番に打ち上げていくというのはどうだろう。
   すごい花火大会になるね。

(5)新国道部分でも何かやりたかった。たとえば、自衛隊・警察の音楽隊や小学校の鼓笛隊、近隣高校のブラスバンド部による大行進など。

 富士には月見草が似合うというが、俵津には「夏祭り」が似合う。

 わたしの妄想コンドルは、俵津湾をぐるーりぐるーりと舞っている。素敵なヨットを見つけた。ヨットが一艘係留されているだけで俵津の景色はずいぶん変わる。いつかあのヨットに乗せてもらって、カクテルでも飲みながら、俵津を沖から眺めてみたい。また別のアイデアが湧くかもしれない。思わず、「いいね!」のボタンを押したくなる。


2017.7.30 自由庵憧鶏(じゆうあんしょうけい)


以前のコラムCheck