エッセイ

『私の映画案内』  筆:西田 孝志

 第二回  『ちょっと怖い映画の話』

俵津の皆さん、お元気ですか?私も元気です。
さて今日はちょっと怖いな、と私が感じた映画の話です。ホラー?いいえ。でも実は私もホラーは大好きなんですが、今日はちょっと違います。それはアニメ映画です。題名は「アナと雪の女王」と言います。こいつアホちゃうか? とこれを読んでる貴方は思ったでしょう。日本で公開されるや大ヒットし、その年の映画の中で最高の興行収入をあげた映画です。巷では、この映画が分からない夫とは暮らせない!と「アナ雪」離婚なるものも報道されましたよね。そんな映画のどこが怖いんだ!その通りです。この映画は人間の愛と勇気、そして正義の為の戦いを描いていて、さらに素晴らしい音楽。仲々良く出来ていて、誰が見てもとても楽しめる映画です。でもちょっと我慢して読んでください。実は私はこの映画を見終わった後、少なからぬ疑問が湧いてきたのです。以下その疑問を書いてみます。
一、何故、雪の女王の国には黒人がいないのか?
ニ、何故、貿易の為に遥と海を渡って来た人を悪者として描くのか?
三、何故、雪の女王は悪人への罰として貿易を止める様な決定を下したのか?
四、何故、悪人は、チビで、メガネを掛け、吊り目なのか?
 以上が私の感じた疑問です。この疑問に対して私がどう思ったのか説明します。
一はアメリカの現状です。この国は後20年もすれば人口3億人を越える完全な非白人国家になるのです。ヒスパニック・アジア・イスラム系が人口の50%を越えます。現在でもカラードが一人もいない都市はないのですから、どうして黒人が一人もいない国を描く必要があるのでしょうか?
二は、海を渡って来る異なった思想や文化は本来歓迎されるべきものです。アメリカは異文化を取り込み、融和し、多文化主義の国家としてのアイデンティティを作りあげて来たのではないでしょうか。海を越えて敵がやって来ると言う様な描き方には疑問を持ちます。
三は、貿易とは本来互恵的で、利他的な本質を持っている物です。決して恩情や恩恵を与える物ではないはずです。悪人への罰として貿易を止めるという事は、当事国が共にダメージを受け、さらに相手国の国民の恨みをかい、敵に回すという事になります。罰は彼一人に下すべきです。国民の事を考えれば為政者としてすべき事ではないと私は思います。
四は、私にはチビで、メガネを掛け、貿易の為なら何でもやる、不気味で腹黒そうなこの男が日本人に見えて仕方ありませんでした。「ティファニーで朝食を」という映画を憶えていますか、この映画にオードリーにまとわりつく不気味な日本人が出てきますね。チビで、メガネを掛け、出っ歯の気味の悪い男。あれは有名な喜劇俳優のミッキー・ルーニーが演じたのですが、私にはアナ雪の悪人とこの男が重なって見えて仕様がないのです。
 以上の様に私が考え、感じた事柄から、実は雪の女王は実際は、排外的で差別的、さらに独善的な性格なのではないかと疑い始めたのですが、そこまで考えた時、突然私は気づいたのです。そう言えば去年、雪の女王に似た性格で、もっと強烈なキャラの人物がどこかの国で大統領になりましたよね・・・。
 この映画って・・・・・もしかして・・・・もしかしたら・・・・・。
 どうです。ちょっと怖くなって来ませんか。
 人間は自分が見たい物だけ見て、信じたい物だけ信じる生物なのですよ。ヒヒヒヒヒ・・・・・・・。




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